業績ハイライト
2024年度の概況
当連結会計年度における世界経済は、インフレ圧力がやや鈍化し、緩やかな回復傾向が見られた一方で、米国大統領選後の政策変更や、米欧主要国における金融政策の見直しなどを背景に、為替を含め金融・資本市場においてボラティリティの高い状況が継続しました。また、中国経済の停滞や、中東地域およびロシア・ウクライナにおける紛争長期化による地政学リスクに加えて、米国による関税措置など政策的リスクに晒され、経済およびサプライチェーンのさらなる分断が懸念される状況が継続しました。
当社グループにおいては、世界経済の緩やかな回復に伴い、製品需要全般に前期比では回復傾向にありましたが、先端材料を除く半導体市場の回復ペースの遅れや、中国経済低迷の長期化等の下振れ要因もあり、取り巻く事業環境としては不確実性の高い状況が継続しました。
このような中、当社グループは当期よりスタートした中期経営計画「Grow UP 2026」のもと、新たな目標として「事業ポートフォリオの強靭化」を掲げ、「Uniqueness & Presence事業へのフォーカス」「イノベーションによる新しい価値の創造」「重点管理事業の再構築」等の施策を進め、資本効率を強く意識した事業ポートフォリオ改革を徹底しております。

円安に加え、メタノール市況の上昇やスマートフォン向け光学材料などの販売数量増加等が増収要因となりましたが、2023年12月に(株)JSPが連結子会社から持分法適用会社へ異動したことなどにより、減収となりました。

(株)JSPが連結子会社から持分法適用会社へ異動したことなどが減益要因となりましたが、ポリカーボネートやポリアセタール等のエンジニアリングプラスチックスや、光学材料、メタノール事業の損益が前期を上回ったことや、円安などにより、増益となりました。

営業利益の増加に加え、前期に計上されたトリニダード・トバゴのメタノール生産会社における減損損失の剥落や、メタノール市況の上昇等により、持分法損益が改善したことなどから、増益となりました。

前期に計上された三菱エンジニアリングプラスチックス(株)の連結化に伴う段階取得差益の剥落が減益要因となりましたが、経常利益の増加に加え、繰延税金資産の回収可能性を判断する際の会社分類を変更したことにより一時的に法人税等調整額が改善したことなどから、増益となりました。
セグメント情報
グリーン・エネルギー&ケミカル

- ※ 円グラフは、その他の事業及び調整額を除いて掲載しています。
- ※ 2024年度、組織改定により「基礎化学品事業」は「グリーン・エネルギー&ケミカル事業」へと改称されました。
- ※2023年度まではセグメント別の売上高には「外部顧客への売上高」を記載しておりましたが、2024年度より「セグメン ト間の内部売上高または振替高」を含めた売上高を記載しております。2023年度のセグメント別の売上高についても変更後の売上高を記載しております。
メタノールは、前期に計上したトリニダード・トバゴのメタノール生産会社における減損損失の剥落や、市況が前期に比べ上昇したことなどから増収増益となりました。
メタノール・アンモニア系化学品は、MMA系製品の販売数量は回復傾向にあるものの、修繕費の増加等により減益となりました。
エネルギー資源・環境事業は、発電用LNGの販売数量の増加や、ヨウ素の販売数量増加ならびに市況の上昇等により増収増益となりました。
メタキシレンジアミンや芳香族アルデヒドは、欧米向けの需要が回復傾向にあるものの、中国向けの誘導品の販売数量減少や固定費の増加等により減益となりました。
キシレン分離/誘導品は、高純度イソフタル酸の市況は低迷しているものの、円安等もあり増収増益となりました。
機能化学品

- ※ 円グラフは、その他の事業及び調整額を除いて掲載しています。
- ※2023年度まではセグメント別の売上高には「外部顧客への売上高」を記載しておりましたが、2024年度より「セグメン ト間の内部売上高または振替高」を含めた売上高を記載しております。2023年度のセグメント別の売上高についても変更後の売上高を記載しております。
無機化学品は、半導体向け薬液において、高機能メモリ向けに使用されるハイブリッドケミカルなどの販売数量が増加したことから増益となりました。
エンジニアリングプラスチックスは、ポリカーボネート、ポリアセタール共に、高付加価値品をはじめとして販売数量が増加したことに加え、製造コストの改善等もあり増収増益となりました。
光学材料は、スマートフォンにおけるカメラの高機能化トレンドや新興国向け需要の増加等により、光学樹脂ポリマーの販売数量が増加し増収増益となりました。
電子材料は、主力の半導体パッケージ用BT材料において、スマートフォン向け材料の販売が堅調であったことに加え、AIサーバー向け基板材料OPE®の販売数量が増加したことなどの増益要因はありましたが、BT材料の顧客向け品質対応の強化に伴うコスト増加等により、前年同期並みの損益となりました。
「エージレス®」等の脱酸素剤は、円安による輸出価格改善や海外向け販売数量の増加により増収増益となりました。